このところの陽気で、東京では一気に桜が満開。
ここ山梨の八ヶ岳南麓でも、だんだん蕾が膨らみ始めてきた。
戸台の駐車場は、すでに冬山の駐車場ではなかった。
ワカンまで持ってきたのがバカバカしいほどの雰囲気。でも山はまだ冬のようだ。
甲斐駒ケ岳(長野県では東駒ケ岳!)はまだ真っ白!

今回は角兵衛沢から上がって熊の穴沢を下りるルート。
取り付きから見上げると、沢の中以外はほとんど雪がない。

しかし、我が家から見える反対側の鋸岳はまだ白い。
稜線はきっとまだ冬の厳しさに違いない。
・・・がさすがにワカンはここにデポしよう・・・
登りはじめてしばらくは冬山ではなかった。
新緑が芽吹き始めた感じのよい道。
昔の雰囲気が残る山道。

人の気配が全くないことも手伝って、山により深く浸ることができた。
こういう雰囲気の山は大好きだ。
雪のない山道も久しぶり。
1時間ほど歩くとそこはもう冬山。
予定していた大岩の岩小屋をパスして、稜線までテントを上げる。

明日の午後には雨が降り出すだろう。
少しでも先に進めておきたかった。
この日の夜のメニューはカレー。
水を作りながら砂肝をつまみに山の話で盛り上がる。
狭いテントだけど、この空間で過ごす時間が僕は大好きだ。
カレーは前日に仕込んだペミカンでビーフカレー。
最近テント泊が多く、ペミカン作りもだんだん洗練されてきた気がする。
バターの風味がきいたカレーは最高にうまかった。
また例のごとく写真を撮り忘れる。
そしてデザートは杏仁豆腐。
工夫したらこれくらいは小さな荷物で持っていくことができる。
食事の充実は、登山の充実につながる。今宵も大いに楽しむことができた。
翌朝は3時起床。
お客様が用意してくださった雑炊を楽しむ。
サツマイモ、にんじん、大根を細かく刻んだものを加え、そこのしいたけと三つ葉。雑炊の素で味付けしてとき卵を落としたら出来上がり。最高にヘルシーでうまい雑炊だった。
風がだんだん強くなってきている。
稜線はナイフリッジ、アップダウンが続くバリエーションルート。変化があって楽しい。

この山は、山が深い南アルプスにあって一番取り付きやすい場所にあるにもかかわらず、なぜ人の気配が少ないのか。
それはこの稜線を歩けばよく分かる。
この山には、一般ルートはない。どこから登ってもちょっぴり冒険心をくすぐられる。
だからこそ面白い山なのかもしれない。
熊の穴沢を下降中、ふと振り返るととても印象深い光景が飛び込んできた。

剱岳を髣髴とさせるそのギャップ。
そしてそこに広がる空。
この山もまた、甲斐駒と同じく修験道の山だったのだろうか。
きっと行者もこうやって振り返って眺めたのではないだろうか。
山行中は誰にも会わない、完全貸切の登山を楽しむことができた。
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Tag:鋸岳